方丈記に、似た運命

— 懐かしい古典が、今、蘇る —

日本三大随筆の比較


今回も、方丈記について。

前回、僕が、方丈記を読んでどれぐらい衝撃を受けたかという話を書いた。
ちょっと大げさだけど、雷に打たれるような感じ。
「古典なんかクソおもしろくないわ」って言っていたのに、「いやー、方丈記はいいわー」ってなるんだからね。
もー見事な掌返し。
正直、僕もここまでひっくり返されるとは思っていなかった。
何よりも悩みながら生きていいんだと思えるだけで、なんかホッとした気になった。

それで、この方丈記だけど、読めば読むほど学生時代の方丈記の印象は消えた。
テストのためだけに暗記していた時と比べたら、自由に読むことができる。
いちいち「この」が指しているものを気にしなくてもいい。
いちいち文法を気にする必要もない。
筆者がここで言いたいことを考えることもない。

だいたいね、そんなことばっかりやってるから、古典の授業はつまらないんだよ。
授業中に居眠りする奴が出てくるんだよ。
もっと物語として読めよ。
これほど人生を上手に物語っている古典ってないと思うよ。
しかも、方丈記はすごく良いこと書いてるんだから。

それで、僕なんかだとね、いつも悩みながら生活をしている。
耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、ってやつ。
で、困った時なんかに誰かに相談したりもするけど、あれ、ダメね。
基本的に他人は、無責任にテキトーなことばっかり言うだけだから。
相談して損したってことが、非常に多い。
僕の場合はだけど。

例えば、自己啓発の本、心理学系の本。
ぱっと見、良いことをかいているように感じる。
初めて読んだ時は突き刺さる。
だけど、何回か読んでいると、だんだん突き刺さらなくなっていく。
役立たず。
で、ブックオフに売りに行く。
買い取り額、わずか 10 円。
まーこんなもの。

やっぱり、なんだかんだ言って、僕には方丈記が一番似合う。
少なくとも、読んでガッカリすることがない。
いつ読んでも心が救われる。
もし、無人島に一冊だけ本を持っていくなら、間違いなく方丈記だと思う。
ていうぐらい僕の中では最高の本。

これぐらい書けば、僕の方丈記愛も少しは伝わるかな。
多分ね。。。
ただ、最終的には、ものごと全て合う合わないがある。
僕が、方丈記を好きでも、逆に嫌いだったり、どうでもいいと思っている人間もいる。
しかも、僕の身近にいる。
うちの奥さん。

うちの奥さん、勉強が大の苦手。
知性のかけらを感じることがあまりない。
だけど、要領は良い。
例えば、大学時代の成績なんかほとんどが「優」。
テストには強いのね。

こういうタイプの人間は、要領がいいから物事をシンプルに考える。
ムダな労力を使わない。
そして、深堀することがない。
それで、僕が方丈記を読んでいる。
すると、「古典を読む意味が分からん」って言ってくる。
いや、僕だって最初は、こんなクソくだらんもん読めるかって思っていた。
でも、実際に読んでみると、本当にこれいいなーって思う。
人生って、本当にこのとおりだなーって思うから。

この方丈記、多くの人が難しいと思っている。
じゃないですか?
だから、はっきり言います。

「安心してください!難しくありません!」

これ、本当だから。
そりゃね、古典だから現代文を読むようにスラスラとは読めないよ。
でも、訳を読めばすぐに読めるから。

そして、この方丈記、長いんじゃないのって思っている人もいると思う。
これも、声を大にしてはっきり言います。

「安心してください!短いです!」

例えば、方丈記と同じぐらいの時期に書かれた作品に、徒然草、枕草子、源氏物語、平家物語ってのがある。
これらの作品と比較して、方丈記は圧倒的に文量が少ない。
僕の手元にある文庫本だと、わずか 20 ページ。
ということはどういうこと?
仮に、1ページ1分で読んだとしても、 20 分もあれば十分。
訳も読んだところで、 30 分もあれば十分に読めるかなと。
何となくだけど、読めなくもないなっていう気がしてきたんじゃない?

それで、ここからが今回のメイン。
といても最後なんだけど。
せっかくなので日本三大随筆について、ちょっと勉強をして終わりにしたいと思います。
日本三大随筆。
それは、枕草子、徒然草、方丈記の3つ。
ジャンルは随筆だから、今でいうエッセイ。

◆枕草子
【作者】清少納言
【成立】平安時代
【特徴】平安美を意識した作品。
    何回も「をかし」という表現が出てくる。
    清少納言が「をかし」と感じたものを書き綴った作品。
    「をかし」は、興味深いとか、風情があるとか、面白いとか、そんな意味。
【余談】源氏物語を書いた紫式部とはライバルを通り越して犬猿の仲(だとか)。
    しかも、清少納言は、枕草子の中で人の悪口を書いてるんだとか。

◆徒然草
【作者】兼好法師
【成立】鎌倉時代(後期)
【特徴】兼好法師が心に思ったこと、気になったことを書き綴った作品。
    テーマが非常に幅広い。
    実は成立後、100 年近くは人に知られることもなく埋もれていたんだとか。
【余談】一話完結の話を寄せ集めた超大作。
    僕も全部を読んだわけではないけど、一話完結なのでとても読みやすい。

◆方丈記
【作者】鴨長明 【成立】鎌倉時代(前期)
【特徴】災害(五大災厄)について書かれた災害記録としての側面がある。
    (枕草子や徒然草と比較して)自叙伝的性質が強い。
    (枕草子や徒然草と比較して)文量が少ない。
【余談】随筆ではあるが自叙伝的な性質もあり、その意味では鴨長明のモノローグな印象。
    個人的には、作風は太宰治や坂口安吾に近いように思うけど。

まー、ざっとこんな感じ。
で、ここで太宰治、坂口安吾の名前を出したけど、僕の中では、この二人と鴨長明を同類項でくくっている。
生い立ちとか、作風とかがけっこう似ているところがあると思うし。
鴨長明も無頼派に入れても良いのではないか。
実際、長明さんは無頼だし。
ただ、タイプとしては太宰治に近いだろうか。

今回はこの辺で。

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